【HR VISION vol.1】サイバーエージェント 曽山哲人氏②|新卒採用活動の苦労と成功の秘訣

新卒採用は今、売り手市場の真っ只中。学生にとってはキャリアの選択肢が大きく広がる一方、企業側も自社の魅力を“学生目線”で伝える必要に迫られています。自己成長を求める若者の期待に応えるため、採用戦略はどう変化しているのか――。
第2弾となる今回は、創業初期から若手の抜擢文化を築き、採用力でも注目される株式会社サイバーエージェントCHO・曽山哲人氏と、ABABA代表・久保が「学生から選ばれる採用」と「成長を支える組織づくり」を語ります。

第1弾はこちら
【HR VISION vol.1】サイバーエージェント 曽山哲人氏①|キャリアの原点から最強の組織作りに至るまで

目次

⑤現在の新卒採用活動から見えること

久保
「次は、新卒採用について伺っていきたいと思います。昨今、かなりの売り手市場ということもあり、新卒採用には企業も苦労しているとは思うのですが、現在の新卒採用活動について、曽山さんはどのように見られているのでしょうか?」

曽山
「そうですね、今まさに売り手市場という形ですが、これは学生からしたら色々な会社にキャリアの幅を広げてみることが出来る、すごく良い環境だと思っています。入って欲しい企業の方が多いので、『私たちはこういう会社です』と学生目線で伝えようとしている企業が増えてきているわけですから。 そして、最終面接で学生の皆さんとお会いして感じることは、自己成長を強く望んでいる人が増えてきているな、ということです。これには良い意味と悪い意味、つまりは日本経済の課題という側面があると思っていまして、良い意味としては学生さんたちが自分自身でどうやって社会に貢献していくか、インパクトを与えていくか、こういう視点を持つようになったということ。悪い意味としては、日本経済が決して良くない状況の中で、ちゃんと生き残っていける、安心して生活していける環境をつくっていかなきゃという守りの視点が生まれてきているということです。」

久保
「今の話をお聞きしていて、サイバーエージェントの最終面接に残るにはそのくらい解像度の高い話が出来ないといけない。曽山さんにお会いすることはできない、ということなんですね。」

⑥サイバーエージェントの新卒採用

久保
「今、自己成長を考える学生はすごく多いと思うのですが、その中でもサイバーエージェントは学生からの人気も高く、採用にも成功しているという印象なのですが、その秘訣であったり、苦労した話とかもあれば是非お聞きしたいです。」

曽山
「創業初期の採用活動は、めちゃくちゃ大変でしたよ!本当に(笑)!

1998年に創業して、新卒採用は初年度からやっていたのですが、当時は企業名も全く知られていませんし、人数も少なくて怪しい会社、と見られていました。認知度も全然ない中で、どうやって採用活動をしていくか、苦労していましたね。

これは営業の時の話ですが、電話にて担当につないでもらうときに『サイバーエージェントの曽山です』って言うと、電話先で『ハイパーペイシェントの~、ツムラさんから電話です』って名前も会社も何にも覚えられてない。ちゃんと韻は踏んでるんですが(笑)。 その時に私たちがやっていた取り組みでいいますと、社長の藤田が自ら説明会に出ることで、社長が登場します!という告知をしていました。社長を見たいということで、興味本位の人もいれば優秀な人もいるだろうと採用活動を進めていきました。」

久保
「これは全ベンチャー企業が抱える悩みですよね。ABABAも最初は電話も通じないですし、何の会社かも伝わりませんでした(笑)。そんな中で、サイバーエージェントが欲しいと思う学生さんはどういった方になるのでしょうか?」

曽山
「一つは私たちのビジョンである『21世紀を代表する会社を創る』に対して共感してもらうことが入口になります。個人としてのビジョンも当然あると思いますが、まずは『21世紀を代表する会社を創る』って面白そう、そこで自分もやってみたい、そう思える人であればOKです。

もう一つ、私が新卒に対して期待している事は『次のサイバーエージェントを創る』ということです。今やっているサイバーエージェントのビジネスをやってもらいつつ、それを拡大して、新しい広告の仕組みを創るでもいいし、ゲームを創るでもいいし、番組を創るでもいいし、全く違う事業を作る創るでもいい。新しいこと発案する人でなくても、新しいことを一緒にやりたいって思ってくれる人であれば、是非来てほしいと思っています。」

⑦若手が活躍する文化の秘訣

久保
「サイバーエージェントと言えば、20代で子会社の社長に抜擢されたり、若い人にもっともっとチャレンジを、という印象を持っているのですが、これは昔からだったのでしょうか?」

曽山
「そうですね、これは昔からでした。若い人を活かすことが重要だという藤田の考えで、初年度からとにかく抜擢していました。例えば、私自身も伊勢丹からサイバーエージェントに入って、半年でマネージャーにしてもらっているんですよ。

それまで服を売っていた人が半年後に広告営業のマネージャーになるという抜擢を私自身も体感したわけで、それって嬉しいじゃないですか(笑)。そうすると自分も人にしてあげたくなるんですよ。こうして抜擢の連鎖が生まれていき、私自身も色々な人に『もっとやれるよ!』『これやったらどう?』と勧めていくことで、抜擢が起こる流れや風土を作っているわけです。」

久保
「曽山さんも色々な抜擢をされてきたかと思うのですが、曽山さんご自身はどういったマネジメントをされるのでしょうか?」

曽山
「サイバーエージェントの社員も見ているかもしれませんので、率直に回答すると(笑)、私は本当にマイクロマネジメントをするタイプです。ただ、抜擢して育成する上での一番の理想は任せること、放置だと思います。そして、これをベストと考えてやっているのが藤田です。

以前、育成について藤田に聞いたことがあるのですが、一言

藤田『放置でしょ』

曽山『あ、はい・・・』
という感じでした(笑)。

一方で、すごい細かく自分で見るべきプロダクトの場合、例えばABEMAを作った時なんかは藤田も完全にマイクロマネジメントでした。つまり、マイクロマネジメントに入る場合と入らずに放置する場合、2つのパターンを持っているわけです。新しい分野で自分も含めて一緒にやる時は細かく入る、そうでないものは任せてしまって会議にも入らない。困った時だけ助けるとか、気になった時だけ聞く。そういう風にやっています。」

⑧最終面接まで行った人にスカウトが届くABABA

久保
「そういう抜擢をされるような優秀な若者が集まってくるサイバーエージェントですが、そんなサイバーエージェントにとって最終面接まで進んだ学生というのはどのような人達だと思いますか?」

曽山
「最終面接まで来れた凄い人。シンプルにそう思います。

最終面接で落ちた人を支援するというABABAさんのプロダクトを知った時、『何で自分の時になかったんだろう』と思いましたから(笑)。」

久保
「ありがとうございます(笑)!」

曽山
「私も何社も落ちていますが、他の会社の面接の時に言いたかったんです。
『自分はあの会社の最終面接までいってます』
と(笑)。でもこれは学生の方から言うと嫌な人に見えますよね?だからABABAさんのように企業が代わりにそれを言ってくれること。これがすごく画期的です。企業と学生の両方に受け入れられるようにするため、すごく考えられたんだろうなと思います。本当にいいサービスです。」

久保
「すいません、そんなお褒めの言葉を(笑)。

自分も起業したときにリサーチしたのですが、最終面接で落ちた人というのは、カルチャーが少し合わなかったとか、男女比の問題とか、年度が違えば受かっていたような優秀な人が多いと思います。」

曽山
「それまでの選考を突破してきている分だけ、会社のことも勉強しているでしょうし、色々な人と会って話しているでしょうから、これは大事ですね。さらに重要なことは、就活を通じて育つ人がいる、ということです。一回一回の面接で、上手くいったことやダメだったことを内省して次に進む、これは学習ですよね。」

久保
「その学習が進み、人としてのレベルが上がっていったということを弊社のサービスでは可視化できています。企業さんも就活生の皆さんも使ってほしいと思います。」

曽山
「是非使ってほしいです(笑)!」

久保
「ありがとうございます(笑)。」

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