「花王って倍率が高くて自分じゃ本選考突破は難しいかも……」
そうお悩みの就活生の方向けに、実際に花王の本選考を突破し、内定を獲得した26卒の方にインタビューを行い、選考突破のコツや内定獲得のための対策方法を伝授していただきました!
花王の本選考体験談を教えてくださった方

- 26卒
- 国立大学
- 科学系修士
- 塾講師
- バドミントンサークル
花王で話していたガクチカ・志望動機
花王のガクチカ
私が花王のESで書いたガクチカは、修士研究における失敗と成功の体験でした。界面活性剤の合成実験で半年間結果が出ずに行き詰まった際、文献の条件を鵜呑みにせず、反応機構から見直して系統的にアプローチしたエピソードを中心に構成しました。具体的には、温度や溶媒を変更するパラメータスタディを実施し、最終的に目的物質の合成に成功した経験を通じて、困難な課題に対する粘り強さと論理的思考力をアピールしました。この経験から得た「仮説検証の重要性」と「失敗を次の成功につなげる思考法」が、花王での研究開発においても活かせると結びつけました。
花王の志望動機
花王を志望する理由として、「よきモノづくり」という企業理念への共感と、自身の専門性を活かせる環境があることを軸に構成しました。界面化学を専攻している私にとって、花王の洗剤や化粧品における界面活性剤技術は世界最高水準であり、ここでなら自分の専門知識を最大限活用できると感じたことを強調しました。また、基礎研究から製品開発まで一貫して携われる研究環境や、ESG経営への取り組みにも魅力を感じていることを記載しました。さらに、消費者に最も近い製品を扱うことで、自分の研究成果が多くの人の生活をより豊かにしている実感を得られることも志望理由として挙げました。
花王の本選考の選考フロー

ES・webテスト
花王のESは他社と比較して設問数が多く、自分の研究内容や価値観について詳細に記述する必要がありました。志望理由から研究で失敗したことまで8つの設問があり、それぞれに対して論理的で具体的な回答が求められました。webテストはミキワメが使われており、あまり対策が取れなかったため、SPIで事前準備を行いました。
1次面接
技術系社員2名によるオンライン面接で約30分間実施されました。2名の研究員の方へ研究内容の発表を行い、その後に質疑応答がありました。研究の背景から手法、結果、考察まで幅広く質問され、特に「なぜその実験手法を選んだのか」といった研究への取り組み姿勢が重視されました。
最終面接
研究職のリーダーや社員の方、人事の方10名ほどによる対面面接で約40分間実施されました。技術的な内容でのオリジナリティについてやその研究を発展させるためにはどうするか、志望動機やキャリア観、価値観について深く質問されました。
花王の本選考ES
設問①
志望理由(400文字以内)
数ある企業の中で花王を選んだ理由について、企業理念への共感と自身の専門性との一致を軸に記述しました。界面化学の知識が花王の製品開発に直接活かせることや、消費者の生活に身近な製品を通じて社会貢献できることを具体的に説明しました。また、ESG経営への取り組みについても触れ、持続可能な社会実現への貢献意欲を示しました。
設問②
自分自身の強みと弱み(400文字以内)
強みとして「粘り強さと論理的思考力」を挙げ、修士研究での困難を乗り越えた具体的なエピソードで裏付けました。弱みについては「完璧主義的な傾向」を挙げつつ、それを克服するための具体的な取り組みも併せて記述し、自己改善への意識があることをアピールしました。
設問③
あなたにとって働くとは(400文字以内)
働くことを「自分の専門性と情熱を社会貢献に活かす手段」と定義し、大学での研究経験を通じて感じた科学技術の社会的意義について言及しました。単なる生活手段ではなく、自己実現と社会貢献を両立できる活動として働くことを捉えていることを示しました。
設問④
専門分野、習得したスキル(300文字以内)
界面化学を専門分野とし、両親媒性分子の自己組織化現象について研究していることを説明しました。実験技術として動的光散乱法や原子間力顕微鏡などの評価技術、分析技術としてNMRやFT-IRなどの機器分析技術を習得していることを具体的に記述しました。また、PythonやMATLABを用いたデータ解析能力についても言及しました。
設問⑤
研究分野を選択した理由(300文字以内)
界面化学を選んだ理由として、ミクロな分子レベルの現象が日常生活に直結している点への興味を挙げました。石鹸や洗剤のメカニズムが界面化学で説明できることを知った時の感動や、この分野の知識が幅広い製品開発に応用可能であることを研究分野選択の動機として説明しました。
設問⑥
研究で失敗したこと(400文字以内)
界面活性剤の合成実験で目的物質が得られなかった失敗経験について記述しました。文献の条件を鵜呑みにして同じ実験を繰り返していた最初のアプローチの問題点と、その後の反応機構の見直しによる成功体験を通じて、失敗から学ぶ重要性と仮説検証プロセスの大切さを学んだことを説明しました。
設問⑦
花王で取り組みたい研究技術の内容、関心のある分野を2つまで(200文字以内)
科学工学の知識を活かした開発に携わりたい旨を記述しました。幅広い領域で基盤研究から生まれた価値をお客様に届けることで、多くのお客様に満足してもらうこと、また研究を通し、更に環境に配慮した製造構築をしたいことを説明しました。
設問⑧
入社後のキャリアについて(200文字以内)
学生時代の活動を通じて様々な立場の人同士をつなぐ役割が自分自身に向いていると感じたことから、他部門とのやり取りを積極的に行う立場になりたいことを記述しました。そのために知識と技術を身に付けキャリアアップを目指し、最終的には技術者としてリーダーとなり、関連部署と新しい技術の開発を進められるようになりたいことを伝えました。
花王の本選考1次面接
聞かれた内容
1次面接では研究内容について非常に詳しく質問されました。まず「研究内容を高校生にもわかるように説明してください」という質問から始まり、専門用語を使わずに自分の研究の意義を伝える能力が問われました。続いて実験手法の選択理由や研究で最も困難だった点について質問され、研究者としての思考プロセスを確認されました。
特に印象的だったのは「あなたの研究成果を花王の製品開発にどう活かせますか」という質問で、自分の専門性と企業の事業領域を結びつけて考える力が重視されていると感じました。面接官からは研究の細かな手法について技術的な質問も多く、準備していた資料以上に深い理解が求められました。
面接で意識したのは、専門的な内容を相手にわかりやすく伝えることでした。図や具体例を用いて説明し、面接官の反応を見ながら理解度を確認することを心がけました。また、研究への取り組み姿勢や困難を乗り越える粘り強さをエピソードとともに伝えることで、人間性の部分もアピールしました。
逆質問
逆質問では、花王の研究開発体制について具体的に質問しました。基礎研究から製品開発までの流れや、他部門との連携方法について聞くことで、入社後の働き方をより具体的にイメージしたいと伝えました。また、若手研究者のキャリアパスや成長支援制度についても質問し、長期的なキャリア形成への関心を示しました。
面接官からは丁寧に回答していただき、花王の研究者として働く魅力や挑戦的なプロジェクトについて詳しく教えていただきました。この逆質問を通じて、自分の花王への志望度の高さも伝えることができたと感じています。
花王の本選考最終面接
聞かれた内容
最終面接では技術的な内容が多く、志望動機や価値観についても質問されました。「改めて、なぜ花王なのかを教えてください」という質問に対しては、1次面接での内容と矛盾しないよう一貫した回答を心がけました。企業理念への共感だけでなく、具体的にどのような貢献をしたいかについても詳しく説明しました。
「研究活動で考えていたオリジナリティは何か」という質問では、自分の研究経験を踏まえて誠実さと探究心の重要性について話しました。また「その研究成果を応用するにはどうするか、その障害になりそうなことは」という質問に対しては、異なる専門性を持つメンバーとの協働の意義について具体例を交えて説明しました。
最終面接で最も難しかったのは、花王の事業展開と自分の成長がどのように結びつくかを論理的に説明する必要がありました。事前の企業研究が非常に重要だったと感じています。
逆質問
最終面接の逆質問では、花王の今後の事業戦略について質問しました。特にESG経営の具体的な取り組みや、カーボンニュートラルに向けた研究開発の方向性について聞くことで、社会課題解決への関心を示しました。また、グローバル展開における技術者の役割についても質問し、将来的な海外勤務への意欲も伝えました。
役員の方からは花王のビジョンや挑戦について熱く語っていただき、この会社で働きたいという気持ちがさらに強くなりました。逆質問を通じて、単なる興味だけでなく、真剣に花王で働くことを考えているという姿勢を伝えることができたと思います。
花王内定までの流れ
面接結果の通知方法
各選考段階の結果通知は非常に迅速でした。ES・筆記試験の結果は提出から約1週間後にメールで連絡があり、合格者には一次面接の案内が送られました。一次面接の結果は面接の当日中にメールで通知があり、最終面接に進むことを伝えられました。
最終面接の結果は面接の当日中に電話で内定の通知をいただきました。「内定通知書を郵送させていただきます」との説明もあり、翌日には速達で内定通知書が届きました。全体的に連絡が早く、選考に対する不安を長く抱える必要がなかったのは良かったです。
内定承諾はしたか?その理由は?
私は花王からの内定を承諾しました。最も大きな理由は、研究環境の充実と事業領域の多様性でした。研究所見学で最新の設備と研究者の方々の熱意を直接感じることができ、ここでなら自分の専門性を最大限活かせると確信しました。
また、洗剤・トイレタリーから化粧品、ヘルスケア、ケミカル事業まで幅広い領域を持つ花王では、キャリアの選択肢が豊富だと感じました。「よきモノづくり」という理念とESG経営への取り組みに強く共感し、社会的責任を果たしながら事業を展開する姿勢が私の価値観と合致していることも決定要因でした。
同時期に他の化学メーカーからも内定をいただきましたが、消費者に最も近い製品を扱え、自分の研究成果が日常生活で実感できる点が花王を選ぶ決定的な理由となりました。
選考全体を通しての感想
花王の選考を通じて最も印象的だったのは、技術力だけでなく人間性も重視する企業文化でした。研究内容について深く質問される一方で、チームワークや価値観についても丁寧に確認され、総合的な人物評価を行っていると感じました。
選考プロセス全体が非常に丁寧で、各段階で面接官の方々が真剣に向き合ってくださったことが印象に残っています。特に技術系社員の方々の研究に対する姿勢や、後輩への指導に対する熱意を直接感じることができ、この環境で働きたいという気持ちが強くなりました。
また、選考を通じて花王という会社への理解が深まり、自分のキャリアビジョンもより具体的になりました。面接で聞かれた質問を通じて、自分が本当に大切にしたい価値観や将来の目標を改めて考える良い機会にもなりました。
花王の本選考突破のコツ

花王の本選考を突破するためのコツ
花王の選考を突破するために最も重要なのは、自分の研究内容と花王の事業領域を結びつけて考えることです。単に研究成果を発表するだけでなく、それがどのように製品開発に活かせるかを具体的に説明できる準備が必要です。また、「よきモノづくり」という企業理念を理解し、自分の価値観との一致点を明確に示すことも重要です。
ES作成においては、すべての設問に対して具体的なエピソードと結果を交えて回答することが大切です。特に研究での失敗経験については、そこから何を学び、どのように成長したかを論理的に説明できるよう準備しておくべきです。面接では研究内容を専門外の人にもわかりやすく説明する能力が重視されるため、図やグラフを用いた効果的なプレゼンテーション資料の準備も欠かせません。
自分の研究内容と花王の事業領域を結びつけて考えることが重要
研究成果を発表するだけではなく、どのように製品開発に活かせるかを具体的に説明できる必要があります。また、専門的な言葉で伝えるのではなく、誰にでも分かるように説明をすることが大切なので友人や家族に伝える練習をすることをおススメします。
花王を受ける人へのアドバイス
花王を志望する方には、まず企業研究を徹底的に行うことをお勧めします。最新の決算資料やESGレポート、研究開発の取り組みについて詳しく調べ、それらと自分の専門性や興味がどのように結びつくかを考えてください。また、花王の製品を実際に使用し、その使用感や技術的な特徴について自分なりの考察を持つことも有効です。
選考においては一貫性のある志望動機を持つことが重要です。ESから最終面接まで、なぜ花王なのかという問いに対して矛盾のない回答ができるよう準備してください。また、研究者として働く上での価値観やキャリアビジョンを明確に持ち、それを相手に伝える能力を磨くことも大切です。
まとめ
花王の技術系選考は、専門的な知識と人間性の両方が評価される選考でした。研究内容の深い理解と、それを他者にわかりやすく伝える能力、そして企業理念への共感と具体的な貢献イメージを持つことが合格への鍵となります。選考を通じて感じたのは、花王が単なる技術者ではなく、社会課題の解決に向けて主体的に行動できる研究者を求めているということでした。
これから花王を受験される方には、自分の専門性に自信を持ちつつ、それを社会でどう活かしたいかというビジョンを明確に持って臨むことをお勧めします。きっと素晴らしい結果につながるはずです。