就職活動において企業が本当に求めているのは、学歴や肩書きではなく「自ら考え、決断し、行動できる力」。サイバーエージェントでは、学生に期待するのは“決断経験”だと語ります。さらに、社会人との対話から価値観を広げ、自分を多面的に知ることも重要だと強調。曽山氏が語る、変化の時代を生き抜くための就活の本質とは——。
最後の第4弾ではサイバーエージェントCHO・曽山氏とAIを活用した就職支援サービス『REALME』を展開するABABA代表・久保がこれから就職活動を始める学生に「学生時代にやっておくと良いこと」や「自己分析のアドバイス」を届けます。
第1弾はこちら
【HR VISION vol.1】サイバーエージェント 曽山哲人氏①|キャリアの原点から最強の組織作りに至るまで
第2弾はこちら
【HR VISION vol.1】サイバーエージェント 曽山哲人氏②|新卒採用活動の苦労と成功の秘訣
第3弾はこちら
【HR VISION vol1】サイバーエージェント 曽山哲人氏③|AIの進化と活用について
⑫サイバーエージェントが期待している人材とは
久保
「最後に、これから就職活動をしていく学生に向けたお話をお願いしたいと思います。これから就活始める学生について、サイバーエージェントではどのような人材を期待していますか?」
曽山
「学生がサイバーエージェントに入った後や育成でも言っていることなのですが、決断経験の重要性です。
例えば、ゼミや部活、バイトやゲームでもいいです。
何かを真剣にやっているとき、自分で決めてチャレンジしたことは、上手くいっても失敗しても大きな学びになります。何かに成功した・失敗した、選んだ・選ばなかった、自分自身でこういった決断をすることで学習効果は必ず高まると思います。
サイバーエージェントには、部活をやっていた人、研究をやってきた人、アルバイトをやってきた人もいれば、思い切り遊びを楽しんできた人もいます。これらの人たち全員に共通して言えることが、『決断経験を持っていること』なのです。
私はこの決断経験にこそ何より価値があると思っていまして、今学生生活において、どのようなことをやられているとしても、自分で決めることを改めて大事にしていただけると、その経験の価値が上がるのではないでしょうか。

⑬学生時代にやっておきたいこと
久保
「学生生活も地方なのか東京なのか、など場所によって人によって色々な形があると思うのですが、学生時代の過ごし方について他に意識した方が良い事やアドバイスはありますでしょうか?」
曽山
「私からお勧めできることは、『社会人と話す』ことです。これは、部活のOBでも良いですし、ゼミの先輩、アルバイト先の先輩でも良いので、社会人と接点を作り話してみて欲しいです。
そして、まずは仕事が面白いかどうかを聞いてみてください。次に、面白いなら『なぜ面白いのか』、つまらないなら『なぜつまらないのか』、その理由までしっかりと聞いて欲しいです。
そうすると、全く知らない会社なのにすごく面白そうだったり、逆に超有名企業なのにすごくつまらなそうだったりすることがあるわけです。様々な人の話を聞いて自分にとって本当に面白そうだと感じる領域をちゃんと見つけておくことが大事です。
久保
「なるほど。」
曽山
「今働いている人の中には、『仕事がつまらない』と答える人の方が多いと思います。多くの調査でも『働きがいがない』と答える人が多数です。そんな中で、働きがいがあって楽しい環境をつくろうとしている会社も少しずつ増えてきていますので、そのあたりをしっかりと見て欲しいと思います。」
久保
「そんな曽山さんご自身はどのような学生生活を過ごされたんですか?」
曽山
「大学時代はラクロスをやっていました。でも高校時代はストリートダンスに夢中だったんです。全然関係ないですよね(笑)。大学に入って友達を増やしたかったので、テニスサークルとか、いわゆる『大学生活』みたいなものを夢見ていましたが、勧誘されてラクロス部に入ってしまいました。ラクロス部の先輩がすごくカッコ良かったんですよ(笑)!
私はゴールキーパーを務めていましたが、4年生の時にはキャプテンに就任して、正に自分自身で『チームを作る』という決断をしたんです。元々強いチームではありませんでしたが、自分の代でも強いチームにはなれなくて、チーム作りはすごく難しいなと感じましたね。
その後、伊勢丹に就職してからもコーチとして大学のラクロス部を続けていましたが、ある時に先輩をヘッドコーチとして招聘し、自分はアシスタントコーチを担当するようになってから、これまでずっと二部リーグから上がれなかったチームを一部に昇格させることが出来たんです。
自分がキャプテンの時には出来なかったことが、マネジメントを取り入れたことによって実現できた。マネジメントの力ってすごい、組織マネジメントって面白い、とその時に強く感じました。特に意識はしていませんでしたが、人事に対する素養や興味が根底にあったということですね(笑)。」

⑭自己分析は他者の意見を取り入れる
久保
「まさに自己分析ですね(笑)。自己分析に苦戦している学生も多いと思うのですが、その辺りに何かアドバイスはありますか?」
曽山
「私のお勧めは、自己分析50%他己分析50%です!」
久保
「他者の意見を聞くということですね?」
曽山
「そうです。ジョハリの窓という有名な心理学モデルがありますが、結局のところ自分のことであっても一部しか分かっていない。他者から見てもらうことで自分には見えない部分が見えてくるのです。
私の場合だと『情熱的』『ポジティブ』とよく言われたのですが、もっと他のことを聞いていくと『TOPPO食べ過ぎ』『本当にTOPPO食べてるよね』と色々な人に言われました(笑)。今でも好きだけど、そこまで食べていたかな、と。
色々な人に聞いていくと共通部分がどんどん出てきますので、他者から見た自分がわかるようになります。」
久保
「曽山さんでも難しいということなので、そんなに悩まずに色々な人に聞いてもらうのが良いと思います。私たちのREALMEでもAIによる自己分析のサポートが出来ますので、是非とも活用して欲しいと思います。」
⑮メッセージ
久保
「最後に、これから先、就職活動を始める学生にメッセージをお願いできますでしょうか?」
曽山
「現在は幸いにも売り手市場と言われてはいますが、実際に有利になっているのは一部の学生だけで、そうでない学生との二極化が進んでいると思います。ですから、今の状況に甘えてはいけません。
就職活動は早く始めた分だけ、長く続けることが出来ますから、出来れば早く始めて欲しいと思います。インターンでも良いですし、1dayでも良いので、まずは一回受けてみることから始めてください。そうして就活の感覚を早めに見定めることが大事です。なぜなら、たとえ同期であっても同じ大学であっても人によって就活力はバラバラで、何があなたにとって良いのかもすぐには分からないからです。
ですので、まずは少しでも良いので早くから社会に接点を持って欲しい、というのが私からのお願いです。」

久保
「曽山さんのメッセージで重要なことは共通していますね。早く企業に触れる、早く社会人に会う。」
曽山
「そうですね。情報が足りない中で判断するのが一番もったいないですから。」
久保
「貴重なアドバイスをありがとうございます!
弊社はこれからも全ての企業や学生にとって、よりハッピーとなるような採用活動や採用活動の世界を実現していくことを目指していきます。
本日はありがとうございました。」
曽山
「ありがとうございました。」


