面接では、これまでの成功体験だけでなく、失敗談を聞かれることがあります。
「失敗談を尋ねる目的は何だろう」「こんな失敗談を話したら印象が悪くなるのでは」と迷う人も多いでしょう。
この記事では、企業が面接で失敗談を尋ねる理由や、好印象につながる回答例をご紹介します。
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面接で失敗談を聞く理由は?
成功体験ではなく失敗談を面接で聞く理由は、主に3つあります。面接官が何を知りたいか理解できれば、どのような失敗談を選んだらよいかが分かるでしょう。
失敗に対する価値観を知るため
面接官は失敗談を聞くことで、学生の失敗に対する価値観を知ろうとしています。
- 応募者が何を「失敗」としてとらえているのか
- どのようにして失敗であると分析したのか
- 面接の場に合った失敗談を挙げているか
こうした観点から、学生の価値観を知ることができます。
一言で失敗といっても、うっかりしたミスといえる失敗や、何かに挑戦して成し遂げられなかった失敗など、種類はさまざまです。そうした体験の中からどのような失敗談を選んだかによって、物事の着眼点やとらえ方が分かるでしょう。面接官は失敗談を通して、学生が企業にマッチしているかを見定めています。
問題解決力を測るため
仕事における失敗は誰にでもあることですが、その際に重要なのは失敗をフォローして前へと進む力です。面接官は失敗への対処方法を聞くことで、学生が持つ問題解決力を測っています。
分析力・決断力・コミュニケーション能力・ストレスへの耐性など、失敗と解決のプロセスから見えることは数多くあります。失敗談を伝える際は出来事だけを話すのではなく、しっかりと問題に向き合って解決できたという結果をアピールするとよいでしょう。
失敗からなにを学んだかを知りたい
面接官は学生の失敗談を聞くことで、失敗から学んで成長する力があるかを見ています。
失敗したあとで原因を分析して修正案を示し、周囲の協力も求める。そういった姿勢はビジネスのあらゆる場面で必要とされます。
失敗談を話す際は「失敗からどのようなことを学んだか」「次へ活かすことができたか」という内容も具体的に伝えましょう。
面接で回答する失敗談を選ぶポイント
面接で失敗談を聞かれた際に、どのような体験を選ぶのかは重要です。好印象を与えられる失敗談選びのポイントについて考えてみましょう。
学びにつながった失敗談を選ぶ
面接で失敗談を聞かれたら、失敗談と学びをセットで話すことが重要です。
「失敗から何も学ぶことがなかった」「失敗のあと自分に変化が起きなかった」というエピソードは、面接で話すのに向いていません。できるだけ学びにつながった失敗談を選びましょう。
思いつかない場合は、これまでの失敗を書き出して、その横に気づいたことや行動の変化など書き加えてみてください。失敗のその後をたどることで、学びのあったポジティブな失敗談が見つかるでしょう。
就活先の企業で活かせる内容を選ぶ
志望する企業の業務に活かせる失敗談を選ぶことも、重要なポイントです。入社後、失敗から学んだことをどう活かそうと考えているのか、働くイメージが分かるように話すのがおすすめです。
たとえば、失敗から学んだことがチームワークの重要性だった場合、チームで業務に取り組む部署に向いているととらえてもらえる可能性があります。
「失敗から学んだことが業務に活かせそう」と期待できる内容を選びましょう。
就活で話す失敗談がない場合はどう見つける?
就活では、適切な失敗談選びからの話題の広げ方が大切です。とはいえ、自己アピールにつながるような都合の良い失敗談が、誰にでもあるわけではありませんよね。ここでは、就活で話す失敗談がないときの対処法や見つけ方をご紹介します。
力を入れたことから考える
就活で話す失敗談を見つけられないときは、学生時代に力を入れたことから考えてみましょう。たとえば長期間在籍しているアルバイトや年単位で取り組んだ研究、高校時代から続けている取り組みなどが挙げられます。
学業や趣味にかかわらず、力を入れていることは、長く続けられている場合が多いものです。失敗や改善の経験数も期待でき、独自性の高いエピソードになります。とくに失敗のビフォーアフターで明確な変化があった取り組みは、積極的に採用していきましょう。
友達や家族などから聞いてみる
面接で使える失敗談が見つからないときは、友達や家族から聞いてみるのも一つの手段です。自分が忘れてしまったようなエピソードも、意外と周りは覚えているものです。自分の失敗談を聞くのは少し気恥ずかしいかもしれませんが、そんな「隠したくなるエピソード」にこそ自己アピールのヒントが含まれているかもしれません。
自分では失敗と思っていなかったことが、周りにとっては異なるイメージを抱かれている場合もあります。客観的な目線を参考にしつつ、自己理解も深めながら魅力的な失敗談を作成していきましょう。
気分が落ち込んだときのことを振り返ってみる
気持ちが落ち込んでいるときは、何事もネガティブに捉えやすくなります。普段の自分ではしないようなミスをしたり、周りに当たってしまったりすることもあるでしょう。そんな「メンタルが沈んでいる時期のエピソード」も、効果的な失敗談として役立つ場合があります。
当時の精神状態では、自分のことで精一杯で、失敗にすら気づけなかったかもしれません。心に余裕が持てている今だからこそ、当時の自分を冷静に客観視でき、失敗談として活用できます。
就活の失敗談で意識したいこと
ここでは、就活の失敗談で意識したいポイントをご紹介します。面接における失敗談は、伝え方を間違えるとただの「評価を下げる話題」になってしまいます。話の展開や盛り上げ方も考えつつ、今の自分の強みをアピールできる構成を作成しましょう。
失敗した経緯を情景が浮かぶように話す
面接で失敗談を話す際は、失敗した経緯を情景が浮かぶように話すことが大切です。結論ファーストを心がけ、当時の心理やシチュエーションをシンプルな言葉で伝えましょう。リアルな想像をしながら聞けるような話し方は、話自体の説得力や一貫性を高めてくれます。
失敗談の話し方では、口調や抑揚、声の大きさなどをコントロールすることで、共感性の高い内容になります。自分の話す内容を録音して聞き返しつつ、テンポや声色も調整していきましょう。
工夫したことを詳細に伝える
失敗談のエピソードでは、失敗した出来事そのものにインパクトが集まりやすい傾向にあります。失敗が大きいほど改善のエピソードに注目が集まりますが、伝え方を間違えると「失敗」の存在感に話全体が負けてしまう……というジレンマもあるものです。
失敗を乗り越えた方法を伝える際は、一文を短く区切りながら、簡潔かつわかりやすく伝えることが大切です。登場人物は厳選し、心理変化や工夫を具体的に説明しましょう。内容が論理的であるほど、問題解決能力の高さや伝達力の高さもアピールできます。
挫折体験とは違うことを念頭に置く
失敗談を伝える際は、「失敗体験と挫折体験とは違う」という考えを念頭に置きましょう。失敗とは思い通りの結果が得られなかったことです。挫折とは、目標や夢を途中で諦めてしまうことを指します。
つまり失敗は「再挑戦が可能な体験」であり、挫折は「心が折れ再起不能となる体験」です。就活の自己アピールでは「失敗から学んだこと」はポジティブに評価されやすいものの、挫折は暗く後ろ向きなイメージになりがちです。両者の違いを明確に認識したうえで、あくまで失敗談を話すように意識しましょう。
面接で使える失敗談に関する回答例
面接で失敗談を聞かれた場合、以下の構成を意識するのがおすすめです。
| ①結論 | どのような失敗かを簡潔に伝える |
| ②エピソード | 失敗の具体的な内容や背景を話す |
| ③学び | 失敗をどのように乗り越えたか、何を学んだかを伝える |
| ④入社後のイメージ | 学びを企業でどのように活かすかを述べる |
長さの目安は1分程度です。以下の回答例を、ぜひ参考にしてください。
ゼミでの失敗
| 私の失敗談は、ゼミのプレゼンテーションでの対応です。時間をかけて準備したにもかかわらず、教授やゼミのメンバーの質問に答えられませんでした。 原因は私の準備不足です。パワーポイントの制作に時間をかけて、見やすい図やレイアウトを心掛けたのですが、内容の精査や想定質問への深掘りが不十分だったと思います。 この失敗があってからは、見た目ではなく発表の内容にこだわってプレゼンテーションの準備をするようになりました。 入社後も仕事の質にこだわり、力を注ぐポイントや時間配分に気をつけて、業務を進めていきたいと考えています。 |
部活動での失敗
| 私の失敗談は、高校で陸上競技部に所属していたとき、ケガをして大会に出られなかったことです。目標としていた大会だったのに、リレーのメンバーからはずれて悔しい思いをしました。 原因は、計画性のない練習メニューを組んでしまったことです。焦るあまり、体への負担が大きい練習を続け、ケガをしてしまいました。 大会に出場できず残念な思いをしたうえ、部活の仲間にも迷惑をかけたと思います。大会のあとは、顧問の先生や仲間と相談して計画的な練習をするようになり、ケガをすることがなくなりました。 入社してからも周りのアドバイスを大切にし、計画性を持って業務にたずさわりたいと考えています。 |
サークルでの失敗
| 私の失敗談は、大学のサークル活動で文化祭の出し物を企画したとき、準備が間に合わなかったことです。代表として企画の進行を任されていましたが、「自分1人でやれば早い」と考えて作業を抱え込みすぎ、結果的に直前で仲間に急な依頼を出すこととなり、迷惑をかけてしまいました。 失敗を踏まえ、次のイベントでは作業を細分化し、担当ごとに役割を明確するように提案しました。また進捗を共有するために週1回のミーティングを設け、問題があれば早期に解決できる仕組みをつくりました。 その結果、準備は計画通りに進み、当日は大きなトラブルもなく無事に成功させることができました。この経験から、協力体制を築くことの重要性を学びました。入社後も1人で抱え込まず、チームの力を活かして成果を上げたいと考えています。 |
アルバイトでの失敗
| 私の失敗談は、飲食店のアルバイトでホールリーダーを任された際、周りをうまくまとめられなかったことです。頑張っているのに仕事がスムーズに回らず、いらだつばかりでした。 原因はコミュニケーション不足です。重要な役を任されたプレッシャーから、周りに厳しい発言ばかりしてしまい、店長から「アルバイトのみんなから不満が出ている」と聞かされて、はじめて自分のひとりよがりな言動に気づいたのです。 その後、店長や社員の方と、みんなが働きやすい環境を作るにはどうすればよいかを話し合い、仲間とコミュニケーションを取るよう心掛けました。その結果、不満が出るようなことがなくなり、仕事も円滑に進むようになりました。私自身、コミュニケーションを絶やさない姿勢が身についたと思います。 入社後もコミュニケーションを大切にし、誰もが働きやすい雰囲気を作るよう心掛けたいと考えています。 |
留学先での失敗
| 私の失敗談は、留学先で日本人ばかりと話してしまい、語学力が伸びなかった体験です。 カナダに留学したばかりの頃は、英語を使って活躍できる人材を目指し、現地の人と積極的に交流しようと決めていました。しかし、実際には現地に住む日本人とばかり会ってしまい、留学後1か月経っても英語が上達しなかったのです。 そのことに気づいた私は考えを改め、留学生の仲間を見習って現地のコミュニティと積極的にかかわるように心掛けました。その結果、残りの留学期間で語学力が身につき、TOEICで900点を上回ることができました。 入社後は、間違いに気づいたらすぐに軌道修正し、しっかりと結果を残す姿勢を、仕事に活かしたいと考えています。 |
就活で失敗談を話すときのNG行為2つ
ここでは、就活で失敗談を話すときのNG行為を2つご紹介します。失敗談は、自分の「隠したい部分」をあえて伝えるという観点で、諸刃の剣ともいえるアピール手段です。失敗談を伝える際の注意点を踏まえ、ポジティブな印象を与えるように努めましょう。
「失敗したことはありません」と言ってしまう
思い浮かぶ失敗談がない場合も、「失敗したことはありません」と言うのはNG行為です。とくにプライドの高い人は、自分の失敗や短所を見せることを嫌がる傾向にあります。しかし、生まれて一度も失敗のない人間はいません。
失敗の無さをアピールすると、「自分を客観視できていない人間だ」「失敗の責任を周りに押し付けているだけでは?」とマイナスな評価をされてしまうでしょう。自己理解が不足している印象を与えるだけではなく、質問に対する回答としても整合性が取れていません。
学びにつながっていない失敗談を話してしまう
面接で失敗談を話す際は、現在の学びにつながっているエピソードを話すようにしましょう。ただ「失敗した」という内容だけでは、「失敗を活かせない人間」「向上心が不足している」という印象を与えてしまう可能性があります。
失敗談において大切なのは失敗そのものではなく、失敗から得た学びや、失敗を活かすための工夫です。失敗を乗り越えたエピソードがあるからこそ、「企業への貢献にどのように役立つのか」をアピールできます。
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失敗談を強みに変えて自分をアピールしよう!
企業が面接で失敗談を聞くのは、学生の価値観を知るため、あるいは、問題解決力や失敗から学び取る力を測るためです。志望する企業で活かせるような失敗談を選んで話し、企業にマッチした人材であることをアピールしましょう。
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